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すでに時遅し? TPPでも中国の影響力は抑えられない

「単独では中国に勝てない」 トランプ流で孤立するアメリカ、識者ら危機感



アメリカ・ファーストを掲げ、TPPなど前政権から引き継いだアジェンダを捨て、最近では各国に追加関税を課すという大胆な行動に出ているトランプ大統領。それとは対照的に、世界では多国間自由貿易協定が次々と結ばれている。このままでは世界の流れから外れ、中国との貿易戦争にも負けてしまうと、孤立するアメリカに識者が警鐘を鳴らしている。

◆世界は自由貿易協定ブーム アメリカだけ逆行
 トランプ政権が中国に貿易戦争を挑み、長年の同盟国であるカナダやEUとの関係を取り繕っているうちに、他の国々は着々と自由貿易協定(FTA)締結に動いている。

 EUは、世界経済の3分の1近くをカバーする、これまでで最大の貿易協定を日本と結んだ。また、トランプ氏によってアメリカが脱退した後のTPPは、TPP11として出発し、さらなるメンバーを加えるための交渉も始まっている。メキシコや韓国はラテンアメリカの貿易圏である太平洋同盟への参加に興味を示し、南米の関税同盟メルコスールは、EUとのFTA締結まであと一歩というところまで来ている。

◆関税措置が後押し? 各国のFTAが加速
 トランプ氏は、アメリカは貿易相手国から不公平な扱いを受けていると主張しているが、政治専門紙ザ・ヒルに寄稿した米商工会議所貿易タスクフォースの共同議長、リチャード・ホルウィル氏は、相手国はアメリカをフェアに扱わないのではなく、貿易障壁を低減するFTAを結ぶことで、他国を優遇していると捉えるべきだと述べる。

 ホルウィル氏によれば、世界貿易機関(WTO)に登録されている二国間または地域貿易協定は447件にも上るが、アメリカが参加しているのはそのうち20件のみだ。言い換えれば、アメリカは、自らが除外されている広大な優遇貿易ネットワークのなかで、ビジネスをしていることになる。トランプ氏は関税で貿易相手国に脅しをかけているが、これにより各国はさらにFTAを推し進める。その結果アメリカはますます孤立してしまうと、同氏は指摘している。

 トランプ氏は、二国間協定には前向きだが、ビジネスをする側にとっては、一つのルールでこと足りる多国間協定のほうがずっと楽だと、オバマ政権などで通商代表部次席代表を務めたピーター・オルガイア氏は説明する。トランプ氏の型破りな交渉アプローチにも各国は用心深くなっているとされ、アジア・ソサエティ政策研究所のウェンディ・カトラー氏も、結果的にアメリカの貿易相手国は、より交渉のしやすい国に向かってしまうと指摘している(米公共放送PBS)。

◆対中貿易戦争は単独では困難 TPPにスポットライト
 トランプ氏の関税攻撃で、貿易における米中間の緊張が高まっているが、元民主党上院議員のボブ・ケリー氏は、中国に圧力を加えることは正しいが、トランプ氏のアプローチには疑問符が付くと述べる。多国間でつくるグループを味方にし、中国に対処するほうがはるかに楽だとし、TPPの有効性をCNBCの番組の中で訴えた。

 アジア・タイムズに寄稿した、国際関係の研究者、Xuan Loc Doan氏も、人口14億人の巨大な市場を抱え、一党独裁で国内を統制できる中国に単独で挑むのは非常に困難だと指摘。アメリカの同盟国や友好国を多く含むTPPのような多国間協定、また中国の不公平な貿易慣行を懸念するEUなどとの協調が欠かせないとする。

 同氏は、今のままではアメリカは国際社会からの支持を失い、結果的に中国を勢いづかせることになるとしながらも、トランプ氏が考えを変えることを、同盟国や友好国は待ってくれていると述べる。トランプ氏にとって、「アメリカ・ファースト」の撤回は不本意だろうが、固執すれば「アメリカ・アローン(1人)」を招き、中国からも相手にされなくなるだろうとしている。

◆すでに時遅し? TPPでも中国の影響力は抑えられない
 そもそもTPPは、アメリカが地域の貿易ルールを描き、増大する中国の影響力に対抗できるようにするものだった。トランプ氏は、条件が大きく改善すればTPP復帰もあるという考えを示しているが、ディプロマティック・クーリエ誌は、TPPに戻ったとしても、アメリカのソフトパワーの低下を反転させることはできないと述べる。

 アメリカはブレトン・ウッズ体制下で、金融、外交、政治を含むさまざまな価値の枠組みを設定してきたが、ここ数十年の間に中国の影響力は増しており、「一帯一路」構想、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの中国式モデルが、注目を浴びている。

 総じて周辺国の間では中国よりアメリカへの支持が高いが、中国主導のプロジェクトが広がるにつれ、アジェンダを設定し、経済のルールを支配する中国の力は高まって行くことになる。よってアメリカが地域に対する影響力を維持するには、TPP復活以上のものが必要だと同誌は述べ、アメリカはアジア太平洋を失いつつあると見ている。

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